◇重ね言葉_1_許容度を考える
2012-01-06
本日は番外編で「重ね言葉」について説明します。
この「重ね言葉」は下記の 3 段階に分けられます。
1. 全く許容されないもの
例: 頭痛が痛い、危険が危ない、馬から落馬する、左に左折する etc
【研究】これは通常明らかに受け入れられない表現です。これを例にして、2. 3. のレベルを完全否定する人もいますが、これには困ったものです。
2. 許容されるか否か意見が分かれるもの
例: 犯罪を犯す、違和感を感じる etc
【研究】①「犯罪を犯す (おかす)」は「犯罪を起こす (おこす)」の誤用から派生したものと推測されます。明鏡では「同族目的語」として許容しているようですが、英語にある live a comfortable life のような同族目的語を日本語に認めるかどうかは意見が分かれそうです。仮にこれを同族目的語として許容すると全く許容されない 1. のような表現まで認めることになり、かなり危険な気がします。②「違和感を感じる」という表現は、かつて朝日新聞のコラム欄で見つけて、執筆された記者の方に「朝日新聞の方針として本表現を認めたのでしょうか?」とメールしましたら、「社の方針ではなく単に誤表記」との返信がありました。
3. 厳密には重ね文字であるが、すでに許容されているもの
例: 電流が流れる etc
【研究】①「電流が流れる」は物理の教科書にも出てくる表現で、これは完全に許容された表現といえます。② これは NHK でも認められた表現といえます。「図のような円形コイルに磁石のN極を近づけたり遠ざけたりしたとき、コイルの手前の部分にはどのような誘導電流が流れるか。」NHK高校講座 | ライブラリー | 物理 | 第5回 第1編 電気 電気をつくる | 理解度チェック
時代と共に許容・非許容の基準は変わってきます。この辺りは常に気を付けるようにしましょう。
次回も、本用法の続き「~人の人々」が重ね文字かを検証します。