数量の多さを表す some
2010-02-19
some には「数量が多さ」を表す用法があります。これは「数量の少なさ」を表す some と対極にあるので注意しなくてはなりません。数量の多さを示す場合、口語では some に強調が置かれるのである程度判断できますが、問題は文章中に出てくる場合です。今回はこの点について考えてみましょう。
some は、OE の sum (= a certain one) に由来するため「意味上の不特定数」が根底にあると、現代英語語法大辞典では説明しています。このあたりを受けているせいか英英辞書の中では、「数量の少なさ」を「不確かさ」で説明しているものがあります。
それでは下記に英英辞書の定義を挙げましょう。どの辞書も「数量の多さ」を表す用法は、代名詞の意味としては認めていません。
[Compact Oxford English Dictionary]
・ADJECTIVE:
a considerable amount or number of; at least a small amount or number of
・PRONOUN:
at least a small number or amount of people or things
[American Heritage Dictionary of the English Language]
・ADJECTIVE:
Being an unspecified number or quantity: Some people came into the room. Would you like some sugar?
Being a considerable number or quantity: She has been directing films for some years now.
・PRONOUN:
An indefinite or unspecified number or portion: We took some of the books to the auction.
→「数量の少なさ」ではなく「不明瞭さ」で説明しています。
[Merriam-Webster's Online Dictionary, 11th Edition]
・ADJECTIVE:
being of an unspecified amount or number <give me some water> <have some apples>
→この用法に関して without stress という記述があります。またここでも「数量の少なさ」ではなく「不明瞭さ」で説明しています。
remarkable, striking <that was some party>
→「数量の多さ」に関する例文はなく、「相当な」や「なかなかの」の意味を表す some だけ載っています。
・PRONOUN:
an indefinite additional amount <ran a mile and then some>
日本の辞書ではジーニアスが、some + [具体数] で「多くの」を意味するとして、Some 1, 234 runners attended the race. (1234人ものランナーがそのレースに出た) の例を挙げています。
「数量の多さ」を示す some は、上記の some + [具体数] を表す時以外、あまり文頭に来ないようです。また、そもそも「数量の多さ」を表す some は頻繁に使用される訳語ではないので、まず「数量の少なさ」で判断し、その後どうしても意味が通じないときにだけ「数量の多さ」を意味する訳を当てると良いでしょう。