代名詞を先行詞にする関係代名詞 (he 編)
2010-02-15
一般の辞書や文法書では代名詞を先行詞にする関係代名詞を具体的に解説していません。せいぜい、ことわざや引用句で使用される he who...くらいでしょうか。当然ですが、he 以外も先行詞で取れます。英訳でこの表現を使用する機会はあまりありませんが、和訳では出会う可能性があります。今回は先行詞の he について解説しましょう。
1. 日本の辞書でも解説がありますが、Dictionary.com (Unabridged Based on the Random House Dictionary, Random House, Inc. 2010.) でも、「性別」に関する記述があります。
・anyone (without reference to sex); that person: He who hesitates is lost.
2. 下記はいずれも「ことわざ」の例で、すべて Cambridge Advanced Learner's Dictionary からの引用です。
・He who fights and runs away, lives to fight another day. (used to say that it can be a good and acceptable decision to leave a difficult situation)
・He who laughs last, laughs longest/best. (said to emphasize that the person who has control of a situation in the end is most successful, even if other people had seemed originally to have an advantage)
・He who pays the piper calls the tune. (said to emphasize that the person who is paying someone to do something can decide how it should be done)
3. 下記は「引用句」の例で、American Heritage Dictionary of the English Language からの抜粋です。
・He who desires but acts not, breeds pestilence" (William Blake).
4. Merriam-Webster's Online Dictionary, 11th Edition では、who ではなく that を使用しています。
・he that hath ears to hear, let him hear ― Matthew
→日本語では「聴く耳ある者は聴くべし」と訳されています。hath (=has) を使用するなど古語の例は日本の辞書ではあまり見かけないので、この語の雰囲気を理解するにはありがたい例文です。
【コメント】ジーニアスではこの that の用法を「まれ」と表記しています。Google で用例検索すると、"he who" は 10,700,000 件、"he that" は 4,550,000 件ヒットします。これだけを見ると「1/2 弱」ヒットするので、「まれ」という表記はやや違和感を覚えます。
anyone who (~する [である] 者は誰でも) を意味する he who は文語的なニュアンスが強い表現です。文脈に合わせた「硬め」の表現を選択するようにしましょう。