20100212 命令文の訳し方

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命令文の訳し方

2010-02-12

「法 (Mood)」には、直説法 (indicative mood)、仮定法 (subjunctive mood)、命令法(imperative mood) の 3 つがあり、今回は「命令法」で書かれた文 (以降「命令文」) の訳し方を考えてみます。一般の文法書ではまず解説していませんが、文脈によっては「命令文」を「平叙文」で訳すことがあります。特にこれはマニュアルや仕様書では頻繁に見る形です。これを知らずに「命令」や「依頼」で訳すと極めて不自然な文になるので注意しましょう。

それでは Web から引用した文を見てみましょう。

Press the SELECT button again to reset. Press the RETURN button to return to the Configuration Menu and press the left arrow side of the MENU button to exit the Configuration Menu. <http://www.laserquipt.com/support/idx/30/059/article/Clearing-the-Maintenance-CountLexmark.html>

→「ボタンを押しなさい」あるいは「ボタンを押してください」ではなく「ボタンを押します」と訳します。

・Also for the purposes of this article, assume that a Windows-based computer is the object of this discussion. <http://articles.techrepublic.com.com/5100-10878_11-1035552.html>

→「~は Windows ベースのコンピュータを想定している」などの訳を当てます。ちなみにこの assume は「仮定する」でも構いませんが、特に訳語指定がない限り個人的には「想定」の方を好んで使っています。というのも、「仮定」が「未定のこと、不確かなことを仮にこうと定めること」とやや漠然とした意味を表すのに対し、「想定」は「ある条件や状況を仮に設定すること」を意味し、より明確に表現しているためです (いずれも語義は「大辞泉」より)。

一般の文法書ではあまり記述されていない語法も翻訳では普通に使用します。この点も押さえて、より商品性の高い訳文を作成しましょう。